●『大帝の剣』
★★★☆☆『トリック』や『ケイゾク』など独特の演出で知られる堤幸彦監督によるSF時代劇。
原作は、『キマイラ吼シリーズ』『闇狩り師』『飢狼伝』などで有名な夢枕獏。
侍や忍などが登場するので時代劇かと思いきや、宇宙船やオリハルコン、妖怪や宇宙生命体など
怪しげなキーワードが次から次へと登場して、全く先の読めない展開が観る者を待っている。
かといって、SFや伝奇、オカルト的な要素を切り貼りしただけで一貫性のない散漫な印象を受ける事なく、
ひとつの作品としてまとまっているのは、原作の力なのか演出の力なのか……。
当初は、原作小説のイメージから、主人公・万源九郎はもっと筋骨隆
々の逞しい大男を想像していたので、
阿部寛では線が細いかなと思っていたが、結構、豪快な演技が様になって安心した。
脇を固める宮藤官九郎、大倉孝二、遠藤憲一も相変わらずの小ネタで笑わせるし、
敵役の六平直政、杉本彩、竹内力の存在感も流石。
ヒロインである長谷川京子も、『愛の流刑地』ほどではないが、
そこはかとない色気を出して、暑苦しい風貌の主人公の戦いに、爽やかな風を吹き込んでいた。
爽やかな風といえば、美剣士役の黒木メイサ。あの役柄に男優を持って来なかったのは正解である。
ただ、正体としては、あの人物より、その側近の方が似合っていたと思うが。
いずれにしても、最近の映画に多く見られるようなスカした感じや
これは芸術作品なんだという鼻につく感じがなく、
古臭い感じはあるものの「手堅く作ってあるな」という印象を受けた。
宣伝ポスターや予告編の映像で、かなり損をしているだろう。
もっと巧い宣伝マンを使えば、もっとヒットしていたであろう作品。
まあ、そこがまた堤作品っぽいといえばぽいのだが。
