●『誰も知らない』
★★★★☆この作品のテーマとなっているのは、
社会問題にもなっているネグレクト(育児放棄)である。
児童虐待調査研究会によれば、ネグレクトとは
「遺棄、衣食住や清潔さについての健康状態を損なう放置
(栄養不良、極端な不潔、怠慢ないし拒否による病気の発生、
学校へ行かせない、など)をいう」とされている。
だが、この作品が描こうとしているのは、
そういったネグレクトへの非難や糾弾ではない。
親に捨てられた子供たちの「生きる姿」を
映像に留めようという真摯な姿勢である。
それだけに、子供たちの姿が
観終わった後でも鮮烈に心に残るのだろう。
こんなにも叙情豊かな作品は久々に観た気がする。
抑えた演出と自然な台詞回し。しかし、淡々とした感じはない。
大作のような派手さも付加的な売りもないが、秀作だと思う。
普通の暮らしを普通にできる事の大切さを痛感。
外国であれば、子供たちが糧を得る方法もあるのかもしれなが、
日本は、子供が自活するには厳しい国なのかもしれない。
大人が手を差し伸べなくても、子供たちだけの楽園で
明るく元気に生きていって欲しいと願った。
挿入曲の「宝石」の歌詞も心を打つ。
「宝石」
作詞・作曲 タテタカコ
真夜中の空に問いかけてみても
ただ星が輝くだけ
心から溶け出した黒い湖へと
流されていくだけ
もう一度天使はボクにふりむくかい?
僕の心で水浴びをするかい?
やがてくる冬の嵐に波が揺られて
闇の中へぼくを誘う
氷のように枯れた瞳で
僕は大きくなっていく
だれもよせつけられない
異臭を放った宝石
